リスクリワードは、金の取引で失う可能性のある額と得られる可能性のある額を比べ、それを一つの数字に圧縮したものです。それがR倍数です。エントリー、損切り、目標を入力すると、比率、ロット別のドル建てリスク、このセットアップが損益分岐に必要な勝率が表示されます。
同じ計算を逆向きに使うと、比率を固定したときの必要勝率が出ます。ここに金特有の要素はなく、トレードの幾何学だけが決めます。
| リスクリワード | 1Rあたりのリワード | 損益分岐の勝率 | 損益分岐より20%高い勝率 |
|---|---|---|---|
| 0.5 : 1 | 0.5R | 66.7% | 80.0% |
| 1 : 1 | 1.0R | 50.0% | 60.0% |
| 1.5 : 1 | 1.5R | 40.0% | 48.0% |
| 2 : 1 | 2.0R | 33.3% | 40.0% |
| 3 : 1 | 3.0R | 25.0% | 30.0% |
| 4 : 1 | 4.0R | 20.0% | 24.0% |
「損益分岐より20%高い勝率」は損益分岐勝率を1.2倍した値です。2Rなら33.3%が40%になります。2Rのトレードは3回に1回当たれば損益ゼロ、というのがこの表の要点です。
すべてのトレードには正直なリスク単位が一つだけあります。エントリーから損切りまでの距離を、実際のロットでドルに換算したものです。その距離が1Rです。2倍離れた目標は2R、損切りを建値に移せば0R、損切り距離の半分で手仕舞えば0.4R。結果をRで記録すれば、0.10ロットのスキャルプと2ロットのスイングが直接比較できます。プロのデスクがこの方式で帳簿をつけるのはそのためです。
Rはトレードの前に決まるもので、後から決めるものではありません。損切りを広げて凌ごうとした瞬間、背負っているつもりのリスクは実際のリスクではなくなり、記録上のRはすべて虚構になります。損切りを動かさなければならないなら、そのポジションは口座に対して大きすぎるのが普通です。
金の標準ロットは100オンスなので、XAU/USDが1ドル動くと標準ロットで100ドル、ミニロットで10ドル、マイクロロットで1ドルになります。契約サイズが計算に入るのはこの一箇所だけで、比率そのものは価格基準なので0.01ロットでも10ロットでも同じです。ロットが変えるのは金額であり、Rは決して変わりません。
損益分岐勝率はRだけで決まります。1Rなら半分当てれば収支は横ばい。2Rなら3回に1回の勝ちで2回の負けをカバーでき、3Rなら4回に1回です。高い勝率に固執するトレーダーが、3Rで大半を外すことを受け入れるトレーダーより成績が悪くなりがちなのはこのためです。ただし損切りが実際に機能し、目標が到達可能であることが前提です。
4,180ドルでXAU/USDを0.50ロット買い、損切り4,150、目標4,240とします。オンスあたりリスクは30ドル、リワードは60ドルなので2Rのトレードです。50オンスという数量が金額を具体化します。リスク1,500ドルに対して潜在利益3,000ドル、損益分岐勝率は33.3%です。
このセットアップの勝率を45%とします。1トレードの期待値は 0.45 × 3,000 − 0.55 × 1,500 = 1,350 − 825 = +525ドル、つまり0.35R。同じトレードを100回繰り返すと期待利益は約52,500ドルですが、勝率45%では数Rの連続ドローダウンはごく普通に起こります。
コストは計算の外ではなく中に入れます。スプレッドが5ドルなら、アスクで買ったロングは最初から5ドル負けています。リスクはオンスあたり35ドル、リワードは55ドルになり、実際の比率は1.57R、損益分岐勝率は38.9%に上がります。チャート上で2Rに見えたセットアップが、約定後には1.5Rしかない——これが「薄い優位」と「優位なし」の差です。
リスクリワードとポジションサイズは一つの判断の表裏です。Rは取る価値があるかを、サイズは口座のどれだけを賭けるかを教えてくれます。まずドル建てリスクを固定し(通常は資金の0.5〜2%)、損切り幅にロットを決めさせます。その工程はポジションサイズ計算ツール、証拠金が足りるかは証拠金計算ツールで確認できます。
早期に切ったものも含め、決済したトレードはすべてRで記録しましょう。平均勝ちと平均負けが「記憶」ではなく「計測」になります。平均利益が1.2Rなのに3Rのトレードを計画し続けているなら、目標が非現実的なのか、出口が感情に支配されているのかのどちらかです。トレード講座一覧はポートフォリオ側の話、リアルタイム相場は水準を書き込む場所です。
本ページの価格と契約価値は100オンス標準契約による例です。XAUADの契約仕様、レバレッジ段階、決済ルールは取引仕様ページに記載しています。本ツールは計算のみを行い、投資助言ではありません。
裁量トレードでは2:1が実用的な下限です。損益分岐に必要な勝率が33.3%で済むからです。3R超は魅力的に見えますが、目立った押し目なしに損切り幅の3倍を走る必要があり、実際に最後まで到達するのは稀です。1.5Rを下回る場合は、コストに耐えるだけの高い勝率が必須になります。
エントリーから損切りまでの1オンスあたりの値幅に、標準ロットの100オンスとロット数を掛けるとドル建てリスクになります。リワードも同じくエントリーから目標までの値幅で計算します。リワードをリスクで割ればR倍数です。ロット数は両方に同じ比率で掛かるため、比率自体は変わりません。
いいえ。ほとんど到達しない5Rの目標は、安定して到達する1.5Rの目標より価値が低いものです。重要なのは期待値で、勝率×平均リワード−負け率×平均リスクです。高い比率と極端に低い勝率の組み合わせは、控えめな比率と安定した勝率に劣ることがあり、唯一正直な検証は自分のトレード記録に現れるRの分布です。
損益分岐勝率は損得ゼロの境界線で、リスクリワード比だけで決まります。期待値は自分の見積もり勝率を当てはめ、1トレード平均で何R・何ドル得るか(失うか)を出します。前者は通過すべき基準、後者はこの戦略を続ける価値があるかの判断材料です。