日本のメディアが報じる「金価格」は円建て、海外のチャートが表示するのはドル建て。同じ金なのに数字がまったく違い、どちらを見ればいいのか分からなくなる人は少なくありません。
結論から言えば、円建て金価格=ドル建て金価格×ドル円という一本の式で結ばれています。この式さえ頭に入れておけば、海外の相場を見ながら日本での実勢価格を自分で計算できますし、円安が起きたときに金がどう動くかも予測できます。
XAUADが配信しているXAU/USDのリアルタイム気配(価格ソース:Swissquote)と、為替レートから計算した実際の数値です。時刻はすべて日本時間です。
| 項目 | 数値 | 算出方法 |
|---|---|---|
| ドル建て金価格(1オンス) | 4,125.00 USD | XAU/USD ミッド(買値4,124.66/売値4,125.33) |
| ドル円 | 158.44 円 | 2026年10月20日時点の参考レート |
| 1グラムあたり(税抜) | 21,013 円 | 4,125.00 ÷ 31.1035 × 158.44 |
| 1グラムあたり(税込10%) | 23,114 円 | 小売店頭の目安 |
| 1オンスあたり | 653,570 円 | 4,125.00 × 158.44 |
| 100グラム | 約210万円 | 21,013 × 100 |
| 1キログラム | 約2,101万円 | 21,013 × 1,000 |
データ基準:2026年10月20日 18:23 JST/XAUAD リアルタイム気配・参考為替レート
地金商の店頭価格は、この換算値に販売プレミアム(おおむね数%)と消費税10%が乗った水準になります。つまり「1グラム2万3,000円前後」というのが、いま店頭で金を買うときのおおよその相場観です。
31.1035は「1トロイオンス=31.1035グラム」という国際的な固定値です。ここを間違える人が多いので注意してください。1オンスを28.35グラムとする「常用オンス」と混同すると、計算結果が1割ほどずれます。
逆に、日本の店頭価格からドル建てを逆算することもできます。たとえば税抜21,013円/gが表示されていれば、21,013 ÷ 158.44 × 31.1035 = 4,125ドル。国際相場とほぼ一致していれば、その店のプレミアムは小さいと判断できます。
XAUADの気配は買値4,124.66/売値4,125.33で、差は0.66ドル。これを円建てに直すと1グラムあたり約3.4円、100グラムで340円です。1オンス(31.1グラム)で売買するなら往復約105円。こうして円に換算すると、手数料が高いか安いかの判断がしやすくなります。
金は世界中でドル建てで取引されています。日本にいる私たちが円で金を買うとき、実際には「金を買う」取引と「ドルを買う」取引を同時に行っていることになります。だから為替が動けば、金そのものの価値が変わらなくても円建て価格は変わります。
| ドル円 | 円建て(税抜) | 税込目安 | 前の行との差 |
|---|---|---|---|
| 150.00 | 19,893 円/g | 21,883 円 | — |
| 155.00 | 20,556 円/g | 22,612 円 | +663 円 |
| 158.44 | 21,013 円/g | 23,114 円 | +457 円 |
| 162.00 | 21,485 円/g | 23,633 円 | +472 円 |
| 165.00 | 21,883 円/g | 24,071 円 | +398 円 |
金価格を4,125ドルで固定しても、ドル円が150円から165円になるだけで1グラムあたり約2,000円、率にして10%変わります。円安が進んだ年には、国際相場が横ばいでも「国内金価格が最高値を更新した」というニュースが出るのはこのためです。
| ドル建て | 円建て | 局面の例 |
|---|---|---|
| 3,900 USD | 19,866 円/g | 調整局面の安値 |
| 4,000 USD | 20,376 円/g | 節目の下値 |
| 4,125 USD | 21,013 円/g | 現在 |
| 4,400 USD | 22,413 円/g | 直近高値圏(4,392ドル) |
2026年10月の水準で計算すると、ドル円が1円円安になるごとに、円建て金価格は約133円/g上昇します。1%の円安(約1.58円)なら約210円/g、100グラムで約2万1,000円の含み益です。金を1キロ持っている人なら、為替が1%動くだけで約21万円の評価額変動になります。
ここで押さえておきたいのは、円建て金価格とドル円の相関はかなり強いという点です。円安局面では、金のドル建てが下落していても円建てではプラスになることが珍しくありません。逆に円高が急進すると、金がドル建てで上がっていても円建てではマイナスになります。
XAUADが記録した日次の終値と、それをドル円158.44で換算した円建て価格です。円建ての数字は同日の実際の為替ではなく、比較のために同じレートを使っています。
| 日付(UTC) | 終値 USD/oz | 円建て目安 | 前日比 |
|---|---|---|---|
| 10月12日 | 4,175.03 | 21,268 円 | — |
| 10月13日 | 4,158.63 | 21,184 円 | −84 円 |
| 10月14日 | 4,113.83 | 20,956 円 | −228 円 |
| 10月15日 | 4,157.63 | 21,179 円 | +223 円 |
| 10月16日 | 4,161.83 | 21,200 円 | +21 円 |
| 10月18日 | 4,185.05 | 21,319 円 | +119 円 |
| 10月19日 | 4,132.37 | 21,050 円 | −269 円 |
| 10月20日 | 4,124.56 | 21,011 円 | −39 円 |
直近30日の終値レンジは4,113.73〜4,392.33ドル、円建てでは20,955〜22,374円/g。高値からは約6%下、前日比では0.18%安といたって落ち着いた値動きです。10月14日には安値4,076ドルまで下ヒゲを伸ばしており、4,100ドル割れが短期のサポートとして意識されていることが分かります。
| 方法 | 最低金額 | コスト | 税制 |
|---|---|---|---|
| 金地金・コイン | 数万円〜 | 消費税10%+売買差3〜8%+保管 | 譲渡所得 |
| 純金積立 | 1,000円程度〜 | 積立時の手数料0〜1%、売却時スプレッド | 譲渡所得 |
| 金価格連動ETF | 数万円〜 | 信託報酬 年0.4%前後+売買手数料 | 譲渡所得(特定口座可) |
| スポット取引(XAU/USD) | 少額〜 | スプレッド約3.4円/g+保有コスト | 雑所得(総合課税) |
コストは一般的な水準の目安です。実際の条件は各社の公表値を確認してください。
1キロの地金なら約2,100万円、消費税だけで約210万円です。売却時に消費税は戻らず、買取価格は国際価格を下回ります。往復のコストは5〜10%に達するため、数年で売る前提なら割に合いません。10年以上持つ、あるいは相続対策として現物を持ちたいという人向けです。
毎月定額で1グラム未満の端数も積み上がる方式です。価格が高い月は少なく、安い月は多く買えるので、平均取得単価が平準化されます。ただし売却時に現物を受け取ると、その時点で消費税がかかる点に注意してください。
証券口座で買えるため、1万円台から始められ、特定口座なら税金の計算も自動です。信託報酬は年0.4%前後で、地金の消費税と比べれば圧倒的に安い。ただし金価格連動型ETFは商品ETFとして扱われ、NISAの対象外です。この点は購入前に必ず確認してください。
XAU/USDを直接売買する方法で、円建ての換算を自分で行う必要がありません。スプレッドは1グラムあたり3.4円程度と狭く、短時間の値動きを取るのに向いています。ただし差益は雑所得として総合課税され、給与所得が高い人ほど税率が上がります。
小売店で地金を買うと10%の消費税がかかります。1グラム21,013円の地金は税込23,114円。100グラムなら消費税だけで約21万円です。一方、個人が地金を売るときは原則として消費税はかかりません(事業として継続的に売買している場合は除く)。
売却益は給与とは別に「譲渡所得」として計算します。保有期間が5年を超えれば長期譲渡所得で20.315%(所得税15.315%+住民税5%)、5年以下なら短期譲渡所得として給与所得などと合算され、最高55.945%まで税率が上がります。同じ利益でも保有年数で手取りが大きく変わるので、売却時期は税制も含めて判断してください。
「20万円以下なら申告不要」は所得税の話で、住民税の申告は必要です。また、この判定は金の売却益だけでなく、他の副収入と合算した金額で行われます。
円建て価格の半分は為替で決まります。日銀の金融政策、日米金利差、貿易収支、原油価格がドル円を動かし、それがそのまま金の円建て価格に反映されます。
金は利息を生まない資産なので、実質金利(名目金利−期待インフレ率)が下がると相対的に有利になります。FRBの政策金利とCPI発表は、ドル建て金価格の方向を決める最大の材料です。
新興国中央銀行の継続的な金購入は、価格の下値を支える構造的な要因です。紛争や制裁のニュースが出ると、安全資産として金が買われる傾向があります。
日本の投資家にとっては、この3つに加えて「国内の消費税と売買差」が実質リターンを左右します。何%で買って何%で売るのかを最初に計算しておくと、期待リターンの見積もりが現実的になります。
Q. 円建て金価格はどうやって計算しますか?
A. 1グラムあたり価格=ドル建て価格÷31.1035×ドル円です。金4,125ドル、ドル円158.44円なら約21,013円/gになります。1トロイオンス=31.1035グラムの固定値を使うのがポイントです。
Q. ドル建てが下がっているのに円建てが上がることはありますか?
A. あります。円建ては「ドル建て×為替」なので、ドル建てが1%下落しても為替が2%円安になれば円建ては約1%上昇します。円安が急進した局面では実際に起きている現象です。
Q. 日本で金地金を買うと消費税はかかりますか?
A. 店頭で買うと10%かかります。21,013円/gの地金は税込23,114円です。売却時は個人なら原則非課税ですが、事業性が認められると課税されます。
Q. 金の売却益の税率はどのくらいですか?
A. 保有5年超なら20.315%、5年以下なら総合課税で最高55.945%です。給与所得者は年間20万円以下なら所得税の申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。
Q. 円建てで金を持つならどの方法が向いていますか?
A. 長期なら純金積立かETF、まとまった金額を現物で持つなら地金、短期の値動きを取るならスプレッドの狭いスポット取引です。地金は往復コストが5〜10%かかる点を先に計算してください。
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